2016.09.15

“sentimentalism”の擁護

(少し前に書いたメモ)

Charles Taylor, The Language Animal p.204~にある“sentimentalism”の擁護を試みる。

主体は、傾きを感知する能力を持っている。傾きとは、自分にとってより良いという傾きであったり、自分にとってより悪いという傾きであったりする。良い悪い以外の傾きについては、ここでは議論しない。
 
傾きは、周辺に地平を構成する。地平とは、傾きを延長したもののことである。これはplanとも言える。planは、平面(真っ平らという幾何学的な意味での平面ではない。)でもあり、計画でもある。地平は反応を引き起こす。地平が開けると、方向を定めることができるようになるからである。これは、一種の積分であるとも言える。
 
方向sensは、意味でもある。意味とは向き付けである。傾きを感知する能力さえあれば、そこから地平が開かれ、反応が引き起こされる。反応とは、特定の向きへ向かうことである。
 
Humeのいうreactionが批判されているが、これは、より良い/より悪いという微分量の感知、felt intuitionによってもたらされた地平の開けが可能にする向き付けのことである。知覚は同時に行動でもある、と表現してもいい。
 
行動が特定の向きに向かうということは、何らかの目的が与えられていなくても起こりうることである。微分量の感知がもたらす地平の開けが、局所的な向き付けを引き起こすだけであり、「見ろ、あれが山頂だ!」というように、特定の場所を目指すから向き付けが引き起こされるわけではない。
 
そのつど、より良い/より悪いの微分量の感知によって開かれた地平を手掛かりに行動の向き付けが生じ、また同じことを次の場所で繰り返す。これが、倫理的行動と呼ばれるものである。
 
さらに、解釈学的循環(p.218~)と呼ばれるものは、部分と全体という二項対立で規定されているところに問題がある。部分と全体という二項対立は、微分と積分という二項対立で置き換えられるべきである。
 
微分とは、より良い/より悪いの感知、つまりfelt intuitionであり、積分とはこの感知によって開かれた地平である。しかしこの地平は局所的なものであり、決して全体ではない。解釈学的立場の難点は、全体というものを想定してしまうことである。
 
解釈学的立場が全体を想定するという誤りは、目的というものを想定してしまうのと同じ根を持つ誤りである。つまり、微分量を部分として実体化してしまうという誤りである。
 

2014.09.22

『思い出のマーニー』における皮膚の記憶

(映画中の重要な展開に関わる記述がありますので、観た後に読んでください。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『思い出のマーニー』を、ストーリーに対して素直に読み解いてみたい。

 

 

結局、祖母とのスキンシップの記憶が、杏奈にとってあまりにも強烈だったのだろう。思い出すことがためらわれるような記憶だったのだろう。その記憶の中で、杏奈はすでに「目覚めている」と理解したい。

 

都会の生活では、他人から自分を引き離すことで、うっかりその記憶が蘇ってこないよう、努めている。なぜなら、他人と普通に付き合っていると、自分の体に他人が触れてしまうということが、いくらでも起こりうるからだ。最初に出てくる「輪」の話は、自意識過剰の表現というよりむしろ、外側に外れることで、他人と肌が触れないようにしている、という意味だろう。

 

身体そのものも、強烈な皮膚の記憶を、必死で抑え込もうとしている。そのような身体が語る一種の言葉が、ぜんそくの発作なのだろう。

 

 

しかし、都会を離れて、自然の中に溶け込んでしまうことで、その抑え込みが弛んでしまう。そして、一挙に、皮膚の記憶が蘇る。現実と幻想との境界があやふやになるほどの強さで。

 

マーニーは誰なのか分からない。自分に皮膚の記憶を与えた人間であることは確かだ。しかし、触覚は、相手を同定する感覚ではない。だから、自分の側の皮膚の感覚が、姿形を持って現れる。そういう意味では、分身だ。しかし、厳密には、それは自分自身ではない。記憶の中で自分に妖しい感覚を与えてくる相手だ。

 

マーニーが持つ現実感は、皮膚の記憶の現実感と同じ程度の現実感なので、かなり強い。杏奈は鉛筆で絵を描く。久子のように絵の具では描かない。鉛筆は、それで描いているとき、紙のガリガリとした感覚を指に伝えてくる。そして、鉛筆は削るものでもある。鉛筆は、それを削っているとき、木や芯のガリガリとした感覚を指に伝えてくる。杏奈の記憶は、色、つまり視覚的なものではなく、あくまでも触覚的なものなのだ。

 

マーニーは、少し悪い女の子として現れる。声優の選び方も的確だ。何しろ、妖しい感覚を初めて教えてくれた相手だ。だから、少し悪い女の子として現れる。マーニーのほうが、いろいろなことを知っている。

 

これで『思い出のマーニー』について言うべきことは、ほぼ、言い尽くした。残りのことは、自然にいろいろと説明がつくと思う。

 

最後に・・・杏奈は、あの後、どのように生きるだろうか。

劇中、杏奈は、マーニーにおいていかれてしまう。これは、第一義的には、マーニーが杏奈をおいて亡くなってしまう、という意味だろう。それを杏奈は泣きながら許している。一番のクライマックス・シーンだ。

しかし、マーニーは、和彦と恋愛をして、それによって杏奈をおいていったのである。つまり、マーニーは、「普通の」スキンシップを成就させたから、杏奈をおいていってしまったのだ。

和彦に杏奈が強く嫉妬していたことを、忘れてはいけない。杏奈は、おいていかれたのである。杏奈にとって、皮膚の感覚は、現実のものではない。多くの人間は、「普通に」、皮膚の感覚を現実のものとしていくにもかかわらず、である。

 

マーニーは言う。杏奈があそこにいなかった、と。杏奈は、少なくともまだ、「普通の」皮膚の感覚を持つことができていない。杏奈は、サイロから一人で走って逃げてしまった。マーニーは、和彦と一緒に、光に包まれながら、サイロをゆっくりと歩いて離れたにもかかわらず、である。杏奈の場所と、マーニーの場所とは、違う場所なのだ。

マーニーは、杏奈の祖母である。和彦と一緒に、光に包まれながら、サイロをゆっくりと歩いて離れたからこそ、杏奈が存在する。(母親の存在はおいておくとして・・・。)

杏奈はどのように生きるだろうか。皮膚の記憶の重さは、これからも杏奈の人生を左右してしまうだろうか。ぜんそくは続くだろうか。それとも、映画の物語全体が、杏奈にとって浄化として作用し、「普通に」生きていくことができるようになるのだろうか。

 

私は、こう考えたい。杏奈は、やはり強烈な皮膚の記憶を抱えながら、ずっと生きていく。自分の分身のように強烈な記憶を。ただし、そのような記憶を持った人にしかできないことを、次々に実現しながら、生きていく。そうして、輪の外にしか居られないようなたくさんの人たちに、ひとつずつ居場所をしっかり与えるような生き方をするのだろうと、考えたい。

追伸:彩香は、自分自身は「普通」でありながらも、そういう杏奈のよき理解者になりそうなキャラクターをしていると思う。

2013.05.17

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